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苦節10年

 けれども、そのシャクナゲがお金になるまでには、10年という月日が必要でした。



10年後、埼玉県の卸問屋の社長がシャクナゲをみせてくれとやってきました。10年育てたシャクナゲがやっと売れる、と坂井さんは喜んで社長を山につれて行きました。シャクナゲを見た社長は、いくらか? と聞きます。坂井さんが、1本1000円だと言うと、社長は言いました。

「こんな小さいのは300円だ」

「300円じゃ元とれないから、がっかりしちゃったね。ここで売ったらだめだ。1000円になるまでは育てようと思って売らなかったよ」

 売らなかった苗は、3年後、1000円になりました。今、アララギ園では、人の背丈ほどもあるシャクナゲの群生がたくさんの花をつけています。このシャクナゲ一つ、末端価格で30万円だそうです。それが、見渡す限りの花薗になっています。



 このお話を聞くまで、坂井さんは、人の先をぬかりなく読んで、成功をつかんできた人だと思っていました。けれど、坂井さんには、今で言う勝ち組とは違う、成功哲学がありました。坂井さんは言いました。

「自分はね、あんまり能力がないんです。普通の人と競争すると大体まけちゃう。学生の頃は大体びりっけつだったし。そうなると、競争の激しいところにはいたくないんだ。負けちゃうから」

 短期間で儲けが出そうな所は、競争が激しくなります。けれど、シャクナゲは10年もしないとお金になりません。能力のある人は3年で勝負して利益を出しますが、シャクナゲは、そういう人が手を出さない分野なのだと言います。

「どんなに遅くったって、失敗したって、ぼつぼつやってけば、競争相手がいなきゃ、ものが育った時には売れる。至極単純な考え方だよ」

坂井さんは、当たり前、という顔で言います。

「どこか狭い道を通り抜けていくと、その先に金が取れる場所が出てくる。狭くて長い道を、どうやって通り抜けるかだよね。競争に勝てる自信がない人は、どこかにそういう道をみつけていかなくちゃなんない」