はじめに 小論集 文化と自然1 文化と自然2 文化と自然3 文化と自然4 風土博物館
■風土博物館

1.序文
2.嬬恋村風土博物館の提案
3.嬬恋村整備構想

4.鎌原地区整備構想
  4-4.埋没村落整備構想
     @鎌原観音堂石段
     A延命寺跡
     B十日ノ窪民家跡
  4-5環境整備構想
     @全体計画
     A街並
     B延命寺跡周辺
     C資料館周辺

5.推進計画
6.調査計画

■サイトマップ
■リンク
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A街並

 鎌原地区は、現在でもある程度の街並の景観や地割が遺存しているので、それらを生かした修景整備を行う。
 街道からの景観を重視した整備とし、通りに面する民家を中心に、状況の調査を行い分類する。そのランク別に、それぞれに適した保存修理や修景整備を行う。
 街道の整備は、宿場として機能していた時代のように中央に用水路を通すことば、車両の通行の問題など住民の生活に支障を来すので、用水路の表示をした修景舗装を施す。また、電柱を撤去し電線の埋設化も行うべきである。
 街道沿いには、道祖神や道標・石殿といった石造物など既存史跡が点在するので、それらをも利用した修景を行う。


民家の分類

 街道に面する民家を中心に宿場街としての民家修景整備を行う。民家の構造や破損状態を調査・分類し、それぞれに応じた修理修景を施し、当時の風景にできるかぎり近付ける。
 分類は右の4つにランク分けした。

民家の分類
 Aランク:古い構造を残し、外観上も優秀なもの。
 Bランク:古い構造を残すが、外観(屋根)などが改変しているもの。
 Cランク:新しい構造形態の建物。
 Dランク:宿場街としての景観を損なうもの。

 民家の調査による分類から、それぞれの民家に対して保存管理基準を設けて保存修復および修景整備する必要がある。


(別表)


民家の活用(宮崎邸)
 街道沿いの集落のほぼ中央に位置する宮崎邸は、所々改変されているが、総じて当初の状態を良く残している。現在裏手に新居を建築しており、この民家は空き家となる予定である。街並のほぼ中央という立地や建築物の質から、この民家を街並整備の中心的施設として保存修理し、内部を生活用具などの展示空間として活用する。


[宮崎邸内観]
仏  壇:押入の隅に造られた素朴な仏壇。
下階土間:柱・梁や壁板が与岐(ヨキ)で仕上げられている。
上  階:小屋組が露出されており、通し柱が下階よりも細かく削られている。

[道具]
風袋:繭を入れる袋か。たたみ方が珍しい。
土間:炊事道具が並ぶ。
差し廻し板:諏訪神社大祭以外の小社祭りの際各自の名前の付いている袋に寄付金を入れて隣から隣へと廻して集めた。


街道整備
 街道の整備は、住民の日常生活に支障を来さないように、通常の路面とは色・質感を変えた水路表示にする。また、電線の地下埋設化や商店の看板などの規制(大きさ・色など)も検討事項となるであろう。

[鎌原地区 既存の史跡・文化財]

鎌原神社:宿場街のほぼ中央を東に入った所にある神社。
味噌倉:味噌を貯蔵するための倉。いくつかの民家の庭先に共通した形の倉が見られる。郷倉:鎌原神社の境内にある備荒貯蓄のために穀物を貯蔵した倉。
石造物:双体道祖神や道標・石殿等が点在する。
小屋(オヤ):馬の干し草を貯蔵するための小屋。